インフォームドコンセント


検査や治療を行うときに主治医から

内容についての十分な説明を

聞いて理解した上で同意すること

「納得診療」のことを

インフォームドコンセントといいます



入院してからすぐ,治療や病気について

どの程度まで知りたいか,誰に話をしてほしいのか

アンケートに答えました


全部,知りたい

話をしてほしい人には,父のみ

母は,冷静に話を聞くことができないと思い

父や私から話をすることにしました

弟は,留学中だったため

帰ってくる少し前くらいに話すことに



2003年11月4日,夜7時半



看護師さんに父と私は

病棟処置室の隣の部屋に呼ばれました


手前に机と椅子が置いてあり

その横にはレントゲン投影装置がありました


奧には,ベッドと見たことない機械が


私 「ねぇ,これ,なんだろ?」

父 「何かわからないけれど,すごい機械だなぁ」


椅子に座り,機械に目をやる二人


私 「なんかさ,個人懇談っぽくない?」

父 「わははっ。志望校はどこですか?」


ふざけているうちに,机の上に置いてある

BEACOPP療法と書かれたファイルを見つけました


開けていいかな?ダメかな?

ファイルの表紙をじーっと見ていると

主治医の先生が部屋に入ってきて

あいさつをした後,椅子に座ると

検査結果,治療についての説明が始まりました

話ながら,簡単な言葉で紙に書いてくださったため

とてもわかりやすかったです


まず,病名

ホジキンリンパ腫 結節硬化型 VB あるいは WB


前の病院でリンパの病気と聞いたときから

インターネットで調べ,自分の病気は

きっと,悪性リンパ腫なんだろうな

そう思っていたからか

さほど驚きはしませんでした


話が始まる前,これがいわゆる

告知,インフォームドコンセントだとは

気付いていませんでした


告知,インフォームドコンセントというと

ドラマのシーンのように

重々しい空気なのかとばかり想像していました


穏やかに,時には笑いもあり

お話が進んだような記憶があります



先生は,ひとつひとつのレントゲン

CTスキャンについて,どこから見ているものか

ここから何がわかるのか,を見せてくれながら

解りやすい言葉で説明してくださいました


2002年4月に撮った胸部レントゲンを指して

気管が,腫瘍によって中心から外れていることから

発病は,2002年4月以前でしょうとのこと


なるほど,気管が中心からずれている


体を輪切りに撮影したCT画像を見ながら

臓器の正常な大きさを示してくださり

脾臓が腫れて大きくなっていること

また,肝臓も腫れていることがわかりました



本来持っている臓器の大きさがわからないため

肝臓に転移しているのかは

細胞を調べてみないとわからないそうです


肺のCTを見ると,点々が見られました

リンパ腫なのか別のものかは,不明

これもまた,細胞を調べないとわからないそうです



体の中身がこうしてわかるのは

不謹慎ながら,おもしろいと感じました



次に,治療方法について

標準療法(ABVD療法)

強化療法(BEACOPP療法)

2種類について説明してくださいました


なんとなく,先生はBEACOPP療法

勧めていたような気がします


体力的に楽そうに思えた

AVBD療法に惹かれましたが

「早く終わりそうだし,効きそうだから」と考え

BEACOPP療法を選びました



目標は,完全寛解


完全寛解とは,治療前に評価された

病気の部分が全部消えることを指します


完全寛解したとして

再発の可能性は,30%


うわっ

結構,まずいのかも?!

根拠も何もなく,漠然と思っていました



最後に副作用について


今では,副作用を軽減する薬が

開発されてきているそうです

抗ガン剤というと,吐くというイメージが


吐く確率というのは,5%らしいのですが

確率は,当てにならない気がします

あてはまっちゃえば100%

後日談になりますが,案の定

抗ガン剤点滴の時は毎回,吐きました



そして, ABVD療法BEACOPP療法 の副作用を

紙に書きながら説明してくださいました


副作用

比較

吐き気

10 BEACOPP療法=ABVD療法

嘔吐

5

食欲低下

30

口内炎

BEACOPP療法>ABVD療法

味覚異常

30

血液産生障害

  赤血球 ↓

  白血球 ↓

  血小板 ↓

ヘモグロビン ↓

BEACOPP療法>ABVD療法

脱毛

100 BEACOPP療法=ABVD療法

末梢神経障害
(手先のしびれなど)

100 BEACOPP療法>ABVD療法

血管痛

BEACOPP療法<ABVD療法

肝臓機能障害 

30 BEACOPP療法=ABVD療法

腎臓機能障害

3 BEACOPP療法=ABVD療法

心臓機能障害

3〜5 BEACOPP療法>ABVD療法

肺機能障害

3〜5 BEACOPP療法>ABVD療法

糖尿病の増悪


無月経

BEACOPP療法=ABVD療法

便秘

BEACOPP療法>ABVD療法

治療を行う上で

吐き気止めや白血球減少を防ぐなどの

予防処置を行うこと


白血球が少なくなることにより

発熱,肺炎などの感染症を起こすことがあり

その際には,適切な治療を行うこと


貧血,血小板,ヘモグロビン減少に対して

必要であれば輸血を行うこと


ごくまれに,生命に危険を及ぼすことがあり

必要に応じて,治療の延期,中止

最大限の適切な治療を行うこと


また,通常の化学療法では

病変の部分が消えなかった場合

あるいは,一旦消えた後に再発した場合に

造血幹細胞移植を併用した

大量化学療法を行うとのこと


先生 「この機械で,血液を作るもとになる

細胞を採るんだよ」


奧に置いてあった機械を指して,言われました

ううむ

この機械のお世話にはなりたくないな



約一時間半にわたり,わかりやすい言葉で

説明してくれた主治医の先生,ありがとうございました



話が終わった後

部屋に戻った父と私は

「わかりやすかったね」と感激しました


治療方針が決まり

治療が受けられることで大喜びでした


これで,体が楽になる


まだ,それから起こることなんて

予想もつきませんでした


自分の病気について理解しているのか?

と思われたほど

楽観的に見えたようでした





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